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約80人が来場する、約200㎡のイベント会場。

ここで行われる5人のトークショーの音響を担当することになった。

さらに、イベントの様子を録画し、あとから動画コンテンツとして使う計画もある。会場に声を聞かせるだけでなく、できれば話者ごとの音声を分けて録音しておきたい。

そこで最終的に購入したのが、ZOOM LiveTrak L6maxだった。

L6maxは本当に良かった。コンパクトで、録音もミックスもできて、操作も分かりやすい。買ってすぐ本番に持ち込んだのに、操作で迷うこともほとんどなかった。

しかし僕は、その最先端の32bitフロート録音を、無指向性ワイヤレスマイク4本(LARK M1・M2)のハウリングで無力化した。

失敗したのは、L6maxやLARKを選んだことではない。

機材の用途を分かったつもりになった、知ったかぶりの素人が調子に乗ったことである。

先に結論
  • ZOOM LiveTrak L6max:買ってよかった
  • LARK M1・M2:収録用としては便利
  • LARKを4本同時に会場PAで使う構成:完全に用途ミス
  • 最大の敗因:本番環境でリハーサルできなかったこと
  • 根本的な敗因:全員ワイヤレスにしたらスマートじゃね?と調子に乗ったこと

LARK M1やM2そのものが悪い製品という話ではない。

録画、インタビュー、配信など、マイクで拾った音を大音量のスピーカーから返さない用途なら、軽くて便利なワイヤレスマイクだ。だって、テレビと同じスタッフがやっているYouTubeで使われていたりするもんね!

ただし、約200㎡の会場で、4人の胸元に付けた無指向性マイクの音を客席用スピーカーから大音量で流すとなると、話はまったく別だった。

会場で借りられた機材

会場で借りられる予定だった音響機材は、次のとおり。

  • CLASSIC PRO PA10/4の4chパワードミキサー
  • YAMAHA DM-105 有線マイク2本
  • CLASSIC PROのスピーカー(型式不明)
  • JBL PartyBox Stage 320
  • JBL PartyBox Wireless Micの無線マイク2本
CLASSIC PRO PA10/4とYAMAHA DM-105
会場のPA10/4。4つのマイク入力を備えたパワードミキサー。それとYAMAHAの有線マイクDM-105。素直にこれだけ使っておけばよかったんだよ……。
スタンドに設置されたCLASSIC PROのPAスピーカー
会場のCLASSIC PROスピーカー。型式は確認できなかった。

CLASSIC PRO PA10/4は、4つのマイク入力を備えたパワードミキサーとスピーカーを組み合わせた簡易PAセット。YAMAHA DM-105は、単一指向性のダイナミックマイクだ。

これだけ見れば、とりあえずイベントで声を出すことはできそうだった。しかし、マイクを4本以上ひとまとめで使いたいのに、PA10/4とJBL PartyBoxという2つのスピーカー系統がある。

JBL PartyBox Wireless Micのマイク2本
PartyBoxと一緒に借りられたJBLのワイヤレスマイク2本。
JBL PartyBox Stage 320の入力部とワイヤレスマイク受信機
JBL PartyBox Stage 320の入力部。今回はAUX INを使用した。右側に挿さっている楕円形の機器は、別売りのJBLワイヤレスマイク用受信機。本番ではこれをL6maxやPA10/4に接続して使った。

PartyBoxは本体上面で音量を調整するため、こいつにマイクを接続してしまうと、離れたPA席からすべての音量をまとめて操作するのが難しい。なのでこいつはサブスピーカーとして使うことにした。

最終的には、両端ステレオミニプラグの長ーいケーブルの片方を標準プラグに変換して、L6maxのSUB-OUTからPartyBoxのAUX INへ入れた。SUB-OUTは穴一個だけどステレオなのだ!

PartyBoxまで引いた長いステレオミニケーブルと変換プラグ
PartyBoxまで引いた長いステレオミニケーブル。L6max側だけ6.3mm標準プラグへ変換し、SUB-OUTからPartyBoxのAUX INへ接続した。会場の配置が分からなかったので、事前に15mと10mを両方買ってしまった(笑)。

そしてさらに、会場で借りられる構成では、こちらが確実に取り出せるのはスピーカーへ送る音声だけだと考えた。今回は録画して動画コンテンツにする予定もあったため、会場に音を出すだけではなく、録音用の信号も取り出したい。そこで最初に考えたのが、外部ミキサーを中心にした構成だった。

最初に考えた構成

最初に考えていたのは、次のような配線だった。

  • YAMAHA DM-105を2本、ミキサーの1・2chへ
  • JBLの無線マイク受信機を3・4chの片方へ
  • オーディオテクニカのマイクを5・6chの片方へ
  • BGMやポン出し用サンプラーを7・8chへ
  • メインアウトまたはAUX SENDからPA10/4へ
  • CONTROL ROOM OUTからFocusrite Clarett 2Preへ
  • Clarett 2PreをMacにつないで録音

この段階では、ミキサーとは別にオーディオインターフェースを持ち込み、Macで録音するつもりだった。BGMや効果音についても、Roland SP-404を持っていくか、スマートフォンのKoala Samplerをポン出し用にセットすることを考えていた。

今見ると、すでに荷物も配線も多い。

4,000円で買ったTAPCO Mix.100

最初に購入したのが、ハードオフで以前見かけて狙っていたTAPCO Mix.100だった。価格は4,000円。これを想定していたので「3・4chの片方へ」なんて考えたのだ。

これは青箱に入っていたジャンク品ではなく、普通に販売されていた中古品だ。ただし、状態はあまり良くなかった。

試してみると、どうにもノイズが多い気がする。分解してみたところ、電源周りのコンデンサが一部膨らんでいたため、まずこれを交換した。多少安定したようには感じたものの、ノイズ自体には大きな変化がなかった。

さらに、オペアンプとして使われているICチップをいくつか交換してみた。しかし、1・2chにアンバランス接続したマイクのゲインを上げたときに乗るノイズは、あまり改善しなかった。

そうこうしているうちに、ICを基板から剥がす際、下のランドまで一緒に剥がしてしまった。いずれ直すか……と思い、そのまま封印。

現在も部屋の片隅に、TAPCO Mix.100だったものとして置かれている。分解・改造する前なら、普通に返品してもよかった気がする。

分解された状態のTAPCO Mix.100
現在の「TAPCO Mix.100だったもの」。基板むき出しのまま、次の人生を待っている。

青箱から拾った500円のAT-VD3

Mix.100を買うついでに、青箱からオーディオテクニカのAT-VD3を拾った。価格は500円。青箱にはジャンクしか入っていないので、正確には「青箱から拾ったジャンクのAT-VD3」である。

アンバランスのフォーンケーブルが付属していた気がする。このケーブルでMix.100を試した限りでは、仮にMix.100が故障していなかったとしても、今の自分が求めているものとは少し違う気がした。結局、録音するためには別途オーディオインターフェースかレコーダーが必要になるからだ。

ちなみに、このAT-VD3はどうにも臭かった。

タバコなのか何なのか分からないが、とにかくヘッドケース(グリル? アミアミの丸い所)の中に入っているウインドスクリーンのスポンジが臭い。しかも、そのスポンジは加水分解しかけていて、崩れ始めていた。

それでも「ワンチャン(王貞治ではない)いけるか?」と思って洗ってみた。しかし、加水分解しかけたスポンジは、洗っているうちにスポンジ状ではなくなっていった。悔し涙をこらえながら捨てた。

※本当は泣いていない。

ヘッドケースは取り外し、酸素系漂白剤に漬け込んだあと、中性洗剤でゴシゴシ洗った。ところが、内部のウインドスクリーンを外したため、ヘッドケース越しにマイクのカプセルが見える状態になった。

ヘッドケースを外したAT-VD3と劣化した内部スポンジ
ヘッドケースを外したAT-VD3。内部には、マイクカプセルを覆うものと、グリルの内側に貼られたものの2種類のスポンジが入っていた。しかし、どちらも劣化が激しく、救うことはできなかった。
外付けスポンジを装着したAT-VD3と余った4個のスポンジ
Amazonで購入したウインドスクリーンは5個セット。AT-VD3に1個使って、4個余った。どうすんだこれ?

このままだとブレスノイズが盛大に入りそうだったので、ヘッドケースを丸ごと覆える外付けスポンジをAmazonで購入した。無事にマイクへ装着できた。

4個余った。

本番では、別途用意したバランス接続仕様の長いフォーンケーブルで、このAT-VD3をL6maxの3chへ接続した。

もっと大きなミキサーを探し始める

マイクを最低でも4本程度、できればXLRで接続したい。そう考えて、MackieやYAMAHAなどの、もう少し大きなミキサーを探し始めた。

ただ、入力数が増えると本体も大きくなり、価格も上がる。さらに、話者ごとの音声を分けて録音しようとすると、一般的なUSB付きミキサーでは、ステレオの完成音しかパソコンへ送れない製品も多い。

機種当時確認した価格の目安良かったところ見送った理由
Soundcraft Signature 12 MTK約19,000円14イン/12アウトのマルチトラックUSB録音大きい、中古の玉数が少ない
Mackie ProFX6v38,500円前後小型で扱いやすそう個別のマルチ録音やAUXの条件が合わない
Mackie ProFX10v319,800円前後マイク4本とAUXを扱えるやや大きい
ZOOM R1613,800円前後SDへ8ch同時録音、約1.3kgライブミキサーとしての操作やAUXが弱い
ZOOM R2425,000円前後R16より多機能今回の用途ではR16と同じ弱点
ZOOM LiveTrak L-830,000円前後6基のマイク入力、SD・USBマルチ録音本体が大きめ

※価格は購入検討時に見た中古価格や過去の落札相場で、現在の販売価格ではない。

Soundcraft Signature 12 MTKは、機能だけを見ればかなり理想に近かった。ただ、デカい。そして中古の玉数が明らかに少ない。僕が購入を検討していた時期には、そもそも出品がなかった。表の約19,000円も、そのとき売られていた個体ではなく、過去の落札相場を参考にしたものだ。

ほかにもYAMAHA AW16G、AW1600、BOSS BR-1600CD、BR-800、TASCAM DP-24SD、KORG D3200など、古いマルチトラックレコーダーも散々調べた。

安いものは魅力的だったが、HDD搭載機だったり、重さが5〜6kgあったり、ライブ中のミキサーとしては操作しづらかったりする。色々持ち込むのは大変だから機材の数を減らそうとしているのに、数が減っても巨大化したり重くなったのでは意味がない。

そこで見つけたZOOM LiveTrak L6max

ChatGPTと相談しながら探していて、最終的にたどり着いたのがZOOM LiveTrak L6maxだった。これは完全に盲点だった。

僕は当初「ミキサー」を探していた。その中で、まずAIはマルチトラックレコーダーという選択肢があることに気づかせてくれた。そのおかげで中古情報を無駄に漁ってしまったけども、発売から1年と経っていないこの最新機種を見つけたときは大興奮した。

しかもL6maxは、会場へ音を出しながら、各チャンネルを個別に録音できる、デジタルミキサー兼マルチトラックレコーダーだった。

ZOOM LiveTrak L6maxは、4つのXLR/TRSコンボ入力と8つのライン入力を備え、最大12チャンネルを扱える。本体サイズは約284×114×46.5mm、重量は電池を除いて約673g。これまで見ていた大型ミキサーや古いMTRと比べると、圧倒的に小さい。

ZOOM LiveTrak L6maxを真上から撮影した写真
これで12チャンネル。テーブル上でも、荷物の中でも場所を取らない。

購入価格は新品で44,630円。中古の旧機種を探し回っていたころより高くなったが、録り直せない本番で使うことを考え、新品を選んだ。

32bitフロート録音が素人にはありがたい

L6maxを選んだ大きな理由が、32bitフロート録音だった。

とくにマイクを接続する1〜4chにはデュアルADコンバーターが搭載されていて、小さな声から突然の大声まで、基本的に入力ゲインを細かく調整しなくてもクリップしにくい。

音響に詳しくない人間にとって、適切なゲインを決めるのはかなり難しい。しかも今回は録り直しのできない本番だ。「入力レベルを間違えて、録音した音声があとから使えない」という失敗を減らせるのは非常に大きかった。だから、多少高くても今回は新品のL6maxを買う価値があると思った。

ただし、ハウリングするマイクを使った場合は、その限りではない。32bitフロートが救ってくれるのは録音レベルの失敗である。スピーカーから出た音をマイクが拾い、その音がまたスピーカーから出続けるハウリングまで止めてくれるわけではない。当たり前である。

4つのSOUND PADが便利すぎた

L6maxには、SOUND PADと呼ばれるポン出し用ボタンが4つ付いている。microSDカードに入れたWAVファイルを割り当てれば、効果音だけでなく、1時間を超えるBGMもボタンひとつで再生できる。これが非常に便利だった。

複数のパッドは同時に再生でき、1回だけ鳴らす、ループさせる、押している間だけ鳴らす、といった再生方法も選べる。たとえば2つのパッドにドラムロールと「ジャン!」を割り当てれば、ちょっとした発表演出もこれだけで完結する。

L6maxの4つのSOUND PAD
L6maxには、1〜4のSOUND PADがある。音源を割り当てると赤く点灯し、再生で点滅。
L6maxのmicroSDカードスロット
microSDへマルチトラック録音。

別途SP-404を持っていくか、Koala Samplerをポン出し用にセットするか考えていたが、L6maxを選んだことで、その必要がなくなった。

さらにL6max自体がUSBオーディオインターフェースとしても使えるため、Clarett 2Preを持っていく必要もなくなった。

というか、L6maxはマルチトラックレコーダーなので、RECボタンを押すだけで録音できる。今回はUSBオーディオインターフェースとして使う必要すらなかった。

Macは映像出力のために持ち込んだが、録音までMacへ任せずに済んだ。

つまりL6max一台で、ミキサー、マルチトラックレコーダー、オーディオインターフェース、BGM・効果音用プレーヤーを兼ねられる。

ザ・ミキサーって感じの、いわゆる「縦フェーダー」は付いていないが、各チャンネルのエンコーダー(丸いツマミね)で、LEVEL、PAN、EQ、エフェクト、AUX、SUBなどを切り替えて操作できる。変化具合はエンコーダー周りのオレンジ色のLEDでちゃんと視認できるし、今回の用途では大きな不満にはならなかった。

MIDI CCの割り当てにも対応しているので、外部MIDIコントローラーをつないで物理フェーダーを追加することもできるらしい。これはまだ試していないが、今後やってみたい。

買ってすぐ本番に持ち込んだにもかかわらず、操作で迷う場面もほとんどなかった。

AIノイズリダクション機能も、購入時に惹かれた理由のひとつ。ただし、本番当日はそこまで検証する余裕がなかったので、効果については今後あらためて試したい。いや、ちょっとは試したんだけど、途中からそれどころじゃなくなったのでw

付属ケースSCU-40は、デカい

今回買ったL6maxには、ZOOMのソフトシェルケースSCU-40も付いてきた。

ありがたい。ありがたいのだが、L6maxに対してケースがとにかくデカい。本体が4つぐらい入りそうな勢いである。SCU-40自体、L6max専用品ではなく、いろいろな機材を収める汎用のラージケースっぽいので、隙間ができるのは当然ではある。なんでこれ付けてくれたの?(笑)

開いたZOOM SCU-40ケースの片側に収まったLiveTrak L6max
SCU-40へL6maxを入れたところ。ご覧のとおり、まだ何かいろいろ入りそう。

もっと小さく持ち歩くなら、Geekriaの65/68キーキーボード向けケース(ASIN: B0BDLVWLQK)あたりが近そうに見える。ただし、これは寸法から候補にしただけで、実際の収納は未検証。買うなら内寸と端子の出っ張りを確認してほしい。

ここで、全員ワイヤレスにしたくなる

当初は、会場のYAMAHA DM-105を2本使うつもりだった。

ただし、会場にあったマイクケーブルは長くない。写真のテーブルは1台が横幅180cmで、それを2台並べた長さを往復できていない。実測していないので断言はできないが、おそらく5m程度だったと思う。

180cm幅のテーブル2台に沿わせても足りない会場のマイクケーブル
会場のマイクケーブル。登壇席からPA席まで引くには短かった。

自前のAT-VD3用には長いケーブルを1本用意した。だが、長いケーブルを4本も5本も買い足すとなると、お金もかかるし、重いし、会場での取り回しも増える。

そこで、ヤフオク・メルカリ癖が悪い方向へ出た。

ハンドマイクって、手で触ったときのノイズが気にならない? 音響に慣れていない人は、たぶんマイクも叩く。

だったら全員ワイヤレスのほうが楽なのでは?

胸元に付けておけば、両手も空く。

ケーブルも減る。

スマートじゃね?

かっこよくね?

これが大間違いだった。

メルカリでLARK M1を約4,000円、LARK M2を11,000円で購入できたことも、背中を押した。M2はメルカリで買ったものの、新品未開封品だった。あと、相談相手がAIだけだったことも悪い(笑)。

HOLLYLAND LARK M1・M2なら4人を別々に調整できる

HOLLYLAND(ホーリーランド)のLARK M1とM2は、それぞれ送信機2個と受信機1個のセット。受信機をステレオ出力にすると、2人分のマイクをLとRへ分けて出力できる。

ZOOM LiveTrak L6maxとHOLLYLAND LARK M1・M2の送信機、受信機、接続ケーブル
L6maxと、今回使ったLARK M1・M2。いかにも上手くいきそうな集合写真。

接続には、LARKに付属する両端オスのステレオミニケーブルと、F-FactoryのVM-MSA-10cmを使った。これは3.5mmステレオミニのメスを、6.3mmモノラル標準プラグ2本へ分けるケーブル。赤と白だが、RCA端子ではない。

HOLLYLAND LARK M1・M2の送信機4個、受信機2個、付属ケーブルと分岐ケーブル
LARK M1・M2の送信機4個、受信機2個、付属ケーブル、分岐ケーブル。

各受信機のステレオ出力を2本のフォーン端子へ分岐し、L6maxの5・6ch、7・8ch側へ入力した。これで、4個の送信機を4つのモノラルマイクとして扱い、それぞれの音量を個別に調整できる。

収録用の構成として考えれば、非常にスマートだ。

LARK M1とLARK M2は、どちらも内蔵マイクが無指向性。周囲の音も含めて自然に収録しやすく、動画撮影やインタビューでは使いやすい。

YouTubeでも、プロが普通に使っている。だから僕も、機材そのものを妙に信用してしまった。

いや、実際に信用できる機材ではある。

用途を間違えただけだ。

なお、本番当日は問題なく使えていたと思うが、この記事を書いている最中、LARK M1の送信機が1台お亡くなりになった。どうやら内蔵バッテリーが終わってしまったらしい。

お前まで記事のネタを増やさなくていい。

使用した分岐ケーブル:F-Factory VM-MSA-10cm(Amazon)

なお、今回かかった金額はL6max本体の44,630円だけではない。LARK M1とM2が合わせて約15,000円。安いものを選んだとはいえ、何種類も買ったケーブル類が約10,000円。さらにTAPCO Mix.100が4,000円で、コンデンサやICなどのパーツ代も、手持ちから使った分を含めれば3,000円くらいかかっている。

つまり、L6maxとは別に少なくとも約32,000円。

なかでも、最終的に基板むき出しとなったMix.100関係の約7,000円は、めちゃくちゃ無駄だった。

会場PAに無指向性マイク4本はダメだった

僕は以前、少しだけ音楽ライブのPAを手伝ったことがある。その現場で使われていたのは、SHURE SM58などの指向性を持つマイクだった。

ボーカリストがマイクのグリルを手で包み込むなど、よほど変な持ち方をしない限り、SM58がハウリングする場面にはほとんど遭遇しなかった。

あとは、アコースティックギターに取り付けた小さなマイクがハウリングしたことがあるくらい。ギタリストの持ち込みだったので、型番は分からない。

だから正直、ハウリングがここまでどうしようもないトラブルになるなんて、あまり実感していなかった。

考えてみれば当たり前である。

客席へ大きな音を出すPAでは、スピーカーから返ってくる音をなるべく拾わないようにする必要がある。

ところが今回は、胸元に付けた無指向性マイクを4本、同時に開こうとしていた。口から離れた胸元で声を拾うため音量を上げる。すると、会場の反響音やスピーカーの音まで拾う。それをまたスピーカーから出す。しかも、開いている入口が4つある。

そして今回、トラブルの発生源は僕だった。

震源地。ど真ん中。

ナイショだよ。

リハーサルらしいリハーサルができないまま本番へ入り、トークが始まると「思ったより声が通らない」。音量を上げると「キーン」というか、「プォーン」みたいな……とにかく聞いてらんない! 下げると後ろまで届かない。誰かが身を乗り出したり顔を横へ向けたりすると条件も変わる。

これはL6maxの32bitフロートではどうにもならない。どれだけ優秀な32bitフロート録音でも、会場で発生したハウリングを消してはくれない。ハウリングは、高音質なハウリングとして録音されるだけである。

本当の敗因は、リハーサル時間を守れなかったこと

本番前には音響リハーサルの時間を取るつもりだった。僕自身、必要だと伝えていた。

しかし当日は、トイレの案内を作ったり、座席の誘導を考えたり、会場全体の設営を手伝ったりしているうちに、時間がどんどん削られていった。

音響担当が音響以外の作業へ引っ張られれば、当然、音を確認する時間がなくなる。僕も「この時間だけは機材から離れられない」と押し切れなかったし、主催側にもリハーサルの重要性を十分に理解してもらえなかった。

本番環境で4本を同時に開き、登壇者の位置とスピーカーの位置を再現し、必要な音量まで上げる。これを開場前にやっていれば、少なくとも「この構成では無理だ」と事前に判断できた。

音響リハーサルは、空いた時間にやる作業ではなかった。開始時刻から逆算して専用の時間を確保し、その間は音響担当をほかの設営から外す。今回いちばん高くついた教訓は、機材のスペックではなく時間の守り方だった。

本番中、構成を変えてしのいだ

最終的なチャンネルの使い方は、おおよそ次のようになった。

司会JBLワイヤレス1本。最初はL6maxへ入れ、途中でPA10/4へ直接接続
L6max 1chYAMAHA DM-105
L6max 2chYAMAHA DM-105。登壇者4・5が共用
L6max 3ch自前のAT-VD3
L6max 5・6chLARK M1。接続は残したがミュート
L6max 7・8chLARK M2。接続は残したがミュート

LARKは接続したままミュート。残った有線マイクを回してもらい、司会用JBLマイクは途中からPA10/4へ直接つないだ。

理想の構成ではないが、L6maxの入力数に余裕があり、各チャンネルを個別にミュートできたので、その場で逃げ道を作れた。買ってすぐでも、操作で迷わなかったL6maxには本当に助けられた。

逆ギレしても、もう遅い

だいたい、なんなんだよLARKって!

ふざけんなよ。俺はハイライト派だよ!

と逆ギレしても、もう遅い。

あと、ごめん。

全然非喫煙者でした。

煙を肺まで入れたことすらありません。

製品名に罪はない。

もし次に同じ規模でやるなら

同じようなイベントをまた担当するなら、基本はSM58系の単一指向性ダイナミックマイクを有線で用意する。必要ならスタンドも使う。ケーブルは増えるが、声の近くで拾い、スピーカーの音をなるべく拾わせないほうが安全だ。

ワイヤレスが必要な人だけ、PA用途を前提にした指向性マイクを使う。胸元へ付けるなら、無指向性か指向性か、2台の送信機を受信機側で個別出力できるか、使っていないマイクをミキサー側で個別にミュートできるかまで確認する。

そして何より、本番と同じ位置、同じ本数、同じ音量でリハーサルする。

まだ次のイベントが決まっているわけではない。だから、ここで特定のマイクを「次はこれを買えば解決」と断言するつもりもない。

もし次があれば、どうせまた何かしら機材を買い足す気がする。そのときは、ここで記事にしたい。

今のところ、いちばん無難な答えは結局SHURE SM58。定番には、定番になるだけの理由があるわよね〜。

今回の無駄BUY

TAPCO Mix.100と修理部品:約7,000円分

本体4,000円。さらに、手持ちのコンデンサやICなどを約3,000円分投入した。最終的に基板のランドまで剥がし、本番で使われることなく「TAPCO Mix.100だったもの」になった。これは文句なしの無駄BUYである。

L6maxは、音響の素人が失敗しにくくなる機能をかなり積んでいる。

ただし、接続するマイクと、リハーサル時間までは付属してこない。